アキオ君が事務所に遊びに来てくれました

ある日突然電話があって「明日事務所に行ってもいい?」とのことで仕事前に事務所に寄ってくれました。見た目なんだか明るくなったように見えたアキオ君。お父さんに面と向かって拒否されて非常な憤りと悲しみを受けましたが、時間が経つにつれてアキオくん自身も自身に消化していきているように感じました。夕方から夜中まで週に6日、毎日毎日ラーメン屋さんで働いています。

「はじめの見習い期間の間は仕事がきつくてつらくて本当に嫌で嫌で仕方がなかった。なんで俺、こんなことしているんだろう、って何度も思ったし何度もホームシックになったよ。だけど、はじめてのお給料を手にしたとき、それまでのつらさが一気に吹き飛んだんだ。もう嬉しくって嬉しくって、『おお、これが俺が汗水たらして働いて得たお給料か』ってね。お母さんにもさっそく報告したよ。ペソで考えたら、信じられないくらいの金額だよ。がんばって働いてお金を貯めて、これまで俺のために苦労のし通しだったお母さんのために家を建ててあげたいんだ。もっと貯金をしてフィリピンでビジネスでも始められるといいな」

そんな話をしながらアキオ君から
「はいこれ受け取って」と渡された封筒。
なんと寄付が入っていました。
「俺がこうして今あるのも本当にみなさんのおかげだから。ありがとう」
なんだか感激でウルウルしてしまいました。♪*。・.*♪・。.:*♪ヾ(T●_T。)了└|力"├♪
私、JFCネットワークで働いて以来、JFCの子ども自身から(お母さんたちはあるけれど)こういう形で自分の働いたお給料から「寄付」なんぞ頂いたことはなかったのです。

「お客さんがさ、ここのラーメン、本当においしいよ、とか言ってくれると本当にうれしいしいんだ。初めは、麺の硬さも柔らかめ、普通、固め、とか、汁も薄め、普通、濃いめ、とかいちいち細かいな〜、フィリピンじゃあ考えられないって思ったけど、そこまで味にこだわってそれぞれの好みに忠実に提供するのってすごいって思ったよ。この前さ、うるさい客がいて、固めがいい常連客なんだけど、柔らかい!って文句言われて俺なんかさ、ムッときたけど、店長は嫌な顔一つせずに、全部作りなおしたよ。固いって言うけどさ、ほとんど茹でないんだぜ、ただお湯に通すだけって感じ。ゲっ、こんなの食えるの? って思うけど・・・。店長、すごいなって思った。それとさ、俺がビールさ、出すのをすっかり忘れていた時、ごめんなさい、と言ったら、いいよいいよ、気にするな、頑張れよ、って声をかけてくれるお客さんもいて、なんだかとっても嬉しかった。超うまいんだよ、ラーメン。俺も毎日食べているから、ほら、3キロも太っちゃったよ・・・」

1か月で3キロはまずいでしょ・・・。でも日々の事を饒舌に語り続けるアキオくんをみて、この間、とてもたくましくなったとな〜ととっても嬉しくなって心温まりました。

「毎日さ、仕事の帰り道、お母さんとスカイプで話しながら帰ってくるんだ(自転車通勤)。30分から1時間くらい話すかな。だからホームシックなんかにはもうならない」

なんだかいいな〜。いまどき、20才を超えた男性がお母さんと毎日30分以上話ができるってすごいなあ〜。日本では考えられないかも・・・。
ずっと感じていることですが、フィリピンの母子関係はとても濃密。仲がとてもいい。娘でも息子でもお母さんとお父さんととても仲がいい。
その仲良し関係は大人になっても続くんですよね。なんだかとっても羨ましい。
親離れ、子離れしていないっていう人もいるけど、いつの日にもお互いに必要にして、されている関係、お互いに大事にしている関係ってその人が生きていくうえで、大きな支えになっている気がするんです。
頑張れ、アキオ君、応援しているよ〜。
(伊藤里枝子)