第7回 移住労働者と連帯する全国フォーラムに参加しました

 6月14日(土)15日(日)に行われた「移住労働者と連帯する全国フォーラム・かながわ2008」に参加しました。14日(土)、事務局の伊藤は、「移住女性のエンパワメント:移住女性の「自立支援」とは?」の分科会、古市は「医療・福祉に伴う生活相談のあり方」の分科会へ参加し、それぞれ有意義な話合いがなされました。
 15日(日)は総合分科会「外国人政策:外国人政策の今後」に参加。井口泰さん(関西学院大学)による「多文化共生のための制度的インフラ整備に向けて」、鳥井一平さん(全統一労働組合、移住労働者と連帯する全国ネットワーク)による「『受け入れ』論議と労使対等原則」、丹羽雅雄さん(弁護士)による「統合政策の導入と移住労働者の人権」の話がありました。
 国籍確認訴訟の最高裁判決をうけて移住連でも声明を出して下さり、総合政策の分科会と全体会でそれぞれ国籍確認訴訟の弁護団代表の近藤博徳先生が判決についての話をする機会を得ました。


国籍確認訴訟最高裁判決にかんする声明


第7回 移住労働者と連帯する全国フォーラム・かながわ2008
総合分科会

 さる6月4日、最高裁大法廷は、日本人を父親とし、フィリピン人を母親とする子どもたち10人の日本国籍を認める判決を出した。子どもたちは、両親が結婚しておらず、出生後に日本人父から認知を受けていたにもかかわらず胎児認知ではないため、日本国籍がないとされていた。
日本国籍を得る条件を規定した現行国籍法では、「出生のとき父または母が日本国民である」(2条1項)という条件がない場合に、その第3条1項で、父母の婚姻とその認知により、20歳未満の子は届け出によって日本国籍を得るとなっている。今回の最高裁では、父親の認知と、両親の婚姻を要件とした国籍法第3条が、法の下の平等を定めた憲法14条に違反し、両親の婚姻によって子どもの国籍の有無が決まるのは「不合理な差別で」違憲であると判断されたのである。
この判決に先立ち、国連人権規約委員会は、同規定が婚外子差別であることを指摘し、たびたび日本政府に是正を勧告してきた。また2002年に出された別の国籍確認の最高裁判決は棄却されたが、3人の裁判官は「国籍法3条が憲法14条に違反する疑いが極めて濃い」ことを補足意見として付け加え、今回の判決を予見したものであった。
現在日本には、200万人以上の外国籍者、また外国にルーツを持つ多様な家族が日本に暮らしている。社会はすでに多民族・多文化化し、日本社会の家族構成も多様化している。そのような中で日本人父から認知された子どもたちに日本国籍がないという不当な扱いがあってはならないし、なによりも子どもの人権が優先されなければない。今回の違憲判決は、国籍法が、日本の現実にそぐわなくなっていることを最高裁が認めたものであり、子どもの平等を高らかに宣言したもので、私たちは高く評価する。
 国は、この最高裁判決を厳粛に受けとめ、日本人父から生後認知を受けた全ての子どもたちが日本国籍を取得できるよう、すみやかに国籍法改正に着手すべきである。現行国籍法の日本国籍取得の途を制限する国籍留保制度や選択制度の見直しを含めた抜本的な国籍法改正が求められる。と同時に、この国に居住するあらゆる人びとの権利が保障される社会の構築にむけ、より一層の努力をすべきである。
以上