口頭弁論(その2)

ロレタさんの陳述書
私はロレタ・ラミレス・リゴンといいます。年齢は38歳で、ラファエル・アンヘロ・リゴンという10になる子どもが一人います。

私は、1990年にはじめて来日しました。そして、東京にあるスナックバーで働いているときに、ラファエルの父親と知合ったのです。子どもの父親はよい人だったので、私たちの関係はうまくいっていました。しかしながら、彼には妻がいましたので、私たちがいっしょになる機会はありませんでした。そしてまた、そのことが原因で、彼はラファエルを自分の子どもとして認知をするのを嫌がったのです。彼は、自分の家族にフェルのことを知られるのが嫌だったのです。

あるNGOのおかげで、ラファエルは父親に自分の子どもとして認知をしてもらうことができました。そして、ラファエルは日本で在留してゆく権利を得ることができたのです。しかし、彼は一人の日本人になる権利を得ることはありませんでした。

現在、私の息子は金竜小学校の4年生になりました。まだ幼い子どものことですから、日本人じゃない、という理由で同級生からいじめられることをつらく感じています。いじめの理由は彼の名前が外国人でカタカナで書くからだそうです。まだ幼い子どもの気持ちの中では、息子は自分自身を日本人だと思っています。それは、日本は自分が生まれ育っている場所であり、日本で日本語を母国語として身につけているからです。そしてそれは彼の周りにいる人々とまったく変わりがありません。彼の将来の夢は、この日本でしっかりした仕事を持ち、自分自身の家族を持ちたいと思っています。

こうした理由から、私の息子に日本国籍を得る権利を与えていただきたく、私は今回裁判所にお願いすることにしました。それは、息子の父親が日本人だということだけでなく、息子はこの国で彼の感情を発達させ、知性を養っているからでもあるのです。

私の息子が日本国籍を得るということは、彼がこの国で平等に生きてゆく権利を与えることなのです。息子が投票をする権利を得ることであり、公務員の仕事をするための自由を得ることであり、息子が自分自身のアイデンティティを確立することなのです。そして、息子が成長しているこの国で、日本国籍がないことを原因とする人種差別を取り除くためなのです。