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準正子の取り扱いについて確認したところ、やはり「準正子、認知子を区別せず改正された施行規則で定める書類の提出を求めている」との回答でした。理由を尋ねたところ、「提出書類について準正子と認知子とを区別することは憲法上問題がある、と考えている」とのことでした(「憲法上問題がある、ということで今回の法改正がされたので」という返答だったかも知れません)。

 全く笑止千万な話です。裁判及び法改正の過程を通じ、「準正子について父子関係の真否の確認なしに国籍を与えることには問題がある」という意見はただの一度も出ていないはずです。裁判を経て法改正をした結果、準正子の国籍取得のハードルが高くなってしまうのはどう考えても理不尽な話です。

 付帯決議に照らしてみても全く整合性がありませんし、法改正に反対し、厳格な運用を求めて付帯決議を提案した議員の方々も、このような事態を予想も希望もしていなかったと思います。

 このケースの当事者(母子)は昨年8月に短期滞在のビザで来日し、その後子は「日本人の配偶者等」、母は「定住者」への変更申請をしていますが、半年近く経過した現在も結果が出ておらず、働くことのできない母親は複数の友人から多額の借金をしており、その生活も人間関係も相当危険な状態になっています。私個人としては裁判をやってでも、という気持ちはありますが、おそらく本人は時間的に耐えられないだろうと思われます。

 個別のケースの救済としてというよりも、このような運用を改善しなければならないと思います。

弁護士 近藤博徳